事例紹介
マイクロ波による加熱事例をご紹介します。シングルモードキャビティを使うことによって電界、磁界の分布を明らかにすることができ、被加熱物を効率良く加熱することが可能です。
![]() |
周波数:5.8 GHz 共振モード:TE102 共振器内寸:40×20×(68) マイクロ波入力:100 W |
事例1:セラミック(炭化ケイ素)の加熱
マイクロ波吸収特性が良いことで知られる、炭化ケイ素(SiC)の加熱事例です。炭化ケイ素は化学的にも不活性な素材であることから、補助加熱材としての使用に適しています。ここでは、炭化ケイ素ブロックを電界の高い位置に配置して加熱しています。
![]() |
![]() |
100W入力時の温度変化 | 加熱時の被加熱物外観 |
約300秒で800℃近くまで加熱することができました。このときマイクロ波は被加熱物に吸収されており、共振器本体ほとんど温度上昇しません。負荷インピーダンスの最適化、増力により更に短時間での加熱も可能です。
事例2:金属の加熱
金属は表皮効果により導体表面にしか電流が流れません。例えば銀に5.8 GHzのマイクロ波を照射した場合、電流の流れる深さ(表皮深さ)は僅か0.84 μmで固体金属はほとんど加熱出来ません。しかしながら、金属を粉末状にすることによって固体金属とは異なる事象が認められます。ここでは、金属粉末(平均粒径 60~100 μm)を電界強度の高い位置、磁界強度の高い位置それぞれに配置して加熱します。
![]() |
![]() |
金属粉末の温度変化(100W入力時) | 被加熱物写真 (上段:加熱前、下段:加熱後) |
電場による加熱と磁場による加熱とでは明確な差が現れ、磁界強度の高い位置で加熱した金属粉末は10秒程度で急速に加熱されます。
マイクロ波を照射したい材料がございましたら、ぜひ評価試験をお試し下さい。